乳児揺さぶり致死、父親が無罪主張 虐待推認巡る争いへ

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阿部峻介 田中紳顕
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 生後1カ月の長女を揺さぶって頭部に大けがを負わせて死なせたとして傷害致死罪に問われた父親の中馬隼人被告(43)の裁判員裁判が20日、東京地裁立川支部で始まった。起訴内容について被告は「暴力など加えていない」と否定し、弁護人は無罪を主張した。

 起訴内容は2017年1月13日深夜、東京都町田市の自宅で、長女ひかりちゃんを揺さぶって傷害を負わせ、後遺症による肺炎で3月22日に死なせたというもの。長女には「乳幼児揺さぶられ症候群」(SBS)の典型とされる急性硬膜下血腫、眼底出血、脳浮腫の3症状があり、検察側は虐待事件とみている。

 ただ、SBSの診断から虐待を推認するのは科学的根拠が乏しいとの指摘も出ており、最近は各地で無罪判決が相次ぐ。公判には多くの医師が検察側・弁護側の証人として出廷する予定で、SBSをめぐり全面的な論争が展開されそうだ。

 冒頭陳述で検察側は、ベビーベッドの長女がぐったりして呼吸が止まった際、妻は入浴中で、中馬被告はベランダで酒を飲んでいたと指摘。暴力的な揺さぶりがなければ3症状を伴う傷害は生じず、それができたのは中馬被告以外にいなかったと主張した。

 一方で弁護側は、中馬被告は入浴を終えた妻の悲鳴で異変に気づいたと反論。3症状は病気で生じることが珍しくなく、長女は以前からたびたび顔が青白くなることがあったと説明した。突然呼吸がなくなったり吐いたりする「乳幼児突発性危急事態」(ALTE)などの可能性があり、SBSによるものとはいえないと訴えた。

 公判には事件後に離婚した妻が証人として出廷。事件の前日や前々日にも顔色が白くなることがあったが、当日の様子は「人形のように真っ白で明らかに違った」と証言。一方で中馬被告がそれまで長女に暴力をふるったことは一度もなく、自身の入浴の前後で長女が動かされた様子はなかったと思うとも証言した。

 審理は6日間の予定で、判決は2月7日に言い渡される。(阿部峻介、田中紳顕)

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■国内外で論争に…

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