千葉卓朗
岐阜・高山や白川郷をめぐる日帰りバスツアーが訪日外国人客に人気だ。運営するのは名鉄観光バス(名古屋市)。はじめは失敗の連続。採算を不安視する社内からは反対論もあがった。だが今や、当初目標の5倍超を集客するツアーに育った。
「郡上八幡のお城が見えて参ります」。東海北陸道を走る日帰りツアー「白川郷合掌集落と飛騨高山」のバス車内。バスガイド野田真弓さんの名所案内を、スタッフの下野佐紀子さんが英語に翻訳すると、外をながめる乗客の会話が、中国語、タイ語など多言語で飛びかった。
名鉄観光バスが2017年1月にはじめた、訪日外国人客が加わるバスツアー。乗客数は「3年で1万人」の当初目標に対し、昨年10月末時点で5万人に。立ちあげから関わる河合洋和・旅行営業部長が「想定外」と驚く人気ぶりだ。
名古屋市内を午前8時20分に出発。岐阜・高山の街並みと白川郷を散策し、午後8時前に名古屋に戻る。ランチバイキングつきで8500円。「最低1人からツアー催行」という客に寄りそったプランだ。この日はバス2台で乗客80人中64人が外国人。中国、タイ、インドネシア、ドイツなど国籍はさまざまだ。
同社のバスツアー「ドラゴンズパック」は、年間30万人が乗車する看板商品。15年ごろから外国人客が目立つようになると、迷子や遅刻が相次いだ。
15年10月に社内プロジェクトチームが発足。3カ月後、試験的に外国人だけが参加できるツアーをつくって期間限定で販売をはじめた。
試行錯誤の連続だった。
ガイドの案内を英語スタッフが…