そんなにうまいか、ヒマワリの種 柿ピー派記者のギモン

有料記事地球を食べる

北京=高田正幸
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 日本人の友人たちと北京のおしゃれなバーでウイスキーのグラスを傾け、ナッツをかじっていた時だった。ナッツを見て思い出したのか、1人が「そういえば最近、うまいヒマワリの種を売っている店を見つけたんだよ」とつぶやいた。思わず鼻で笑ってしまった。うまいヒマワリの種だって? 種にうまいもまずいもあるものか、と。

 中国では食べるヒマワリの種を「瓜子」と呼び、とにかくいろんな場所で目にする。私が瓜子のある光景と初めて出合ったのは、留学中だった2年半前、東北地方を旅行中、中国版新幹線の高鉄(高速鉄道)に乗っていたときだった。

 斜め前の席に座った団体客が、ポリ袋からおもむろに取り出したのがそれだった。ぱりっ、もぐもぐ、ぱりっ、もぐもぐ――。早口の中国語で何かをまくし立てながら、食べ続ける。高鉄に乗っていた2、3時間、その音がずっと続いた。「ぱりぱりぱりぱり、うるさいなあ」というのが最初の感想だった。

 ヒマワリの種を食べる光景は米大リーグのテレビ中継でもおなじみだったが、食べてみようと思ったことはなかった。しかし、そんなに食べ続けられるってことは、それほどおいしいものなのか? 中国ではコンビニでも160グラムのヒマワリの種が8元(約130円)ほどで買える。興味が湧いて、自宅近くのコンビニで1袋買ってみた。

 うん、まずくはない。だけど正直そんなにおいしくもない。そもそもそんなに味はしない。しかも殻が上手に割れなくて、どうしても実だけをきれいに食べられないし、部屋の床に細かなカスが散らかってしまう。「柿ピーの方がいいな」と勝手に心の中で日本製品に軍配を上げた。

ほくほくと芋のような…

 ところが、中国人とのつきあいが深くなるということは瓜子と出合う頻度が高くなるということだった。お茶のために入った喫茶店、友人の実家、バー。あらゆるところで瓜子が出てくる。いつのまにか瓜子を口で割るのは上手になったが、それでも種は種。その場になければ、どうしてもその味が恋しくなるというものでもない。一度、中国の友人に尋ねてみたことがあった。「中国人はどうしてヒマワリの種が好きなの? そんなにおいしい?」

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 日本語が堪能な彼の答えは「…

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