免許返納でバス「終身無料」、不公平感招く懸念も 栃木

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平賀拓史 池田拓哉
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 65歳以上で運転免許証を返納すればバスが無料――。そんな自治体の取り組みが栃木県内で広がっている。鹿沼、小山、真岡の3市が導入。高齢者事故のリスクを減らすねらいだが、免許を持たない住民に不公平感が生まれないか懸念の声もある。

 先駆けとなった鹿沼市は2017年8月、65歳以上の免許返納者に対して「終身無料乗車券」の交付を始め、市運行のコミュニティーバス「リーバス」や予約バスが対象だ。翌年には対象を配偶者に広げた。

 これまでに999件の申請があり、1278人が利用する。市の年間費用はカード製作費のみでほぼゼロ。市担当者は「今まで乗っていなかった人が無料で乗るようになっただけなので収益に影響はない」。

 小山市は18年4月から始めた。宇都宮市に次いで人口が多く、コミュニティーバス「おーバス」が市内13路線を走っている。免許を自主返納した65歳以上の市民に、08年から1年間に限って無料乗車券を交付してきたが、返納を促すために期限を撤廃した。撤廃後は907人に交付。わずか2年弱で「1年間無料」だった約10年間に交付した648人を大きく上回った。

 昨年4月、東京・池袋で高齢男性運転の乗用車にはねられて母子が死亡、10人が負傷した事故があった。小山市生活安心課は「高齢者事故の関心が高まった影響も大きい。それでも移動を自動車に頼る人が多く、免許を手放すことに抵抗がある人は多い。終身無料化が返納の後押しになってほしい」としている。

 真岡市も19年4月から終身無料化を始めた。

 こうした動きについて県くらし安全安心課は「移動の手段を担保する積極的な取り組み」と評価する。県警によると、昨年1~11月に免許を返納した65歳以上は7696人で、過去最多だった。

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■他県でも普及…

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