ラグビー界のスター街道を歩んできた藤田慶和(26、パナソニック)にとって、初めての挫折だったかもしれない。2015年暮れ、クラブハウスで聞いた話が忘れられない。

 東福岡高で全国高校大会を3連覇し、早大に進むと史上最年少の18歳7カ月で日本代表デビューした。さらに4年時に、その年秋にあった15人制のワールドカップ(W杯)代表にメンバー最年少で選ばれた。

 しかし、W杯では3戦目のサモア戦まで、ベンチ入りすらできなかった。

 大会前の練習で、指揮官だったエディ・ジョーンズ氏と衝突したのがきっかけだったという。防御の連係のつたなさを指摘され、「結果は悪かったけど、内側の選手とのコミュニケーションは取れている」と反論した。やり取りはヒートアップし、「私のコーチングを受ける資格がない。もう帰れ」と激怒された。

 はっきりとものを言う自分を、ジョーンズ氏は認めていると思っていた。後味の悪さを残したまま、時が過ぎた。

 サモア戦後、チームは勝ったのに悔しさを隠せなかった。すると、気持ちをくみ取った主将のリーチ・マイケルに呼ばれた。

 「(最後の)米国戦は出ような…

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