引くに引けぬ米イラン 「より厳しい報復を」歯止めなく

有料記事イラン司令官殺害

テヘラン=杉崎慎弥 ワシントン=園田耕司 渡辺丘 ニューヨーク=藤原学思
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 イランが、米軍を標的とする直接的な軍事行動に踏み切った。両国ともに軍事衝突がさらに進むことは避けたいとみられるが、国内向けには強気の姿勢を示さなければならず、報復合戦がさらにエスカレートする危険がある。国連も仲介役として期待できず、緊張緩和の糸口は見えていない。

 「米国はソレイマニ(司令官)の腕を切り落とした。さらなる犯罪に手を染めるなら、より厳しい報復を受けることになる」

 国営テレビによると、イランのロハニ大統領は8日、米軍に対するミサイル攻撃実施から数時間後の閣議でこう語り、米国を強く牽制(けんせい)した。

 イランの精鋭部隊・革命防衛隊がソレイマニ司令官殺害の報復として、ミサイル攻撃を実施したのは8日午前1時20分。革命防衛隊の幹部はイランメディアに「米国が3日にソレイマニ司令官を暗殺したのと同じ時間に実行した」と認めた。国営テレビは「イランが報復を完了した後、ソレイマニ司令官は埋葬された」と伝え、攻撃で米軍関係者らが「80人死亡した」とも主張した。

 最高指導者ハメネイ師や革命防衛隊の幹部らは、ソレイマニ司令官の殺害直後から、米国への報復を宣言。7日にソレイマニ司令官の葬儀が生まれ故郷のケルマン州で終了した直後に、ミサイル攻撃を開始。攻撃は司令官への「弔い」であることを印象づけた。

 イランが米国への報復に踏み切った背景にはソレイマニ司令官が国民的な英雄である事実がある。国民レベルでも、報復論が高まり続けていた。

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 ソレイマニ司令官は、反米基…

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