19人の命が奪われた「津久井やまゆり園」での事件から3年半。横浜地裁で8日始まった植松聖(さとし)被告(29)に対する裁判は、開廷後まもなく被告が不規則な行動をとって退廷させられる異例の展開となった。事件当時に善悪を判断し行動する能力はあったのか、検察側、弁護側の主張が鋭く対立した。
黒色のスーツに紺のネクタイ姿の植松被告は、深々と一礼し、入廷した。廷内の被害者家族や遺族の姿が一般の傍聴人の目に触れないように、傍聴席には仕切りが設けられた。
被告は罪状認否で起訴内容に間違いがないか問われ、「ありません」と小さいながらも、はきはきした声で答えた。
いったん被告人席に戻りかけたが、弁護人が再度の発言を求めた。裁判長に許されると、被告は証言台で「皆さんに深くおわびします」と小さい声で述べた。
その後突然、首付近を両手で押さえて前かがみになったため、4人の刑務官が「やめなさい」と大声を出して取り押さえた。床に倒れた被告は1分以上にわたって暴れ、廷内は騒然となった。
裁判長が「休廷します」と告げ、開廷からわずか10分余りで審理は中断した。複数の係員が一般傍聴人や記者に向かって、「すみやかに退廷してください」と呼びかけた。
横浜地裁によると、被告が右手の小指をかみ切るような行動をしたという。意図はわかっていない。
午後に再開された法廷に被告の姿はなかった。
検察側が冒頭陳述で強調した…
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