車いすの私、大丸で笑顔になれた仕事 いじめ退職越えて

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机美鈴
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 車いすユーザーの販売員が、大丸梅田店(大阪市)に誕生した。同店では初めてで、周辺のデパートも例がないという。当人にとっては、いくつもの困難を乗り越えてつかんだ念願の接客の仕事。「こうした事例がニュースにならない、当たり前の世の中になってほしい」と願う。

 大丸梅田店5階に11月にオープンした「ムーンド バイ エルピーシー」。最先端の生理用品やデリケートゾーンのケアグッズが並ぶ店内を中久保希穂(きほ)さん(28)が電動車いすで行き来し、商品に見入る客に熱心に説明する。「ようやく営業トークがスムーズになってきた」と笑顔を浮かべる。

 中久保さんは脳性まひの後遺症で、幼いときから歩行がままならない。小学生の頃の夢は「渋谷のギャルになる」。地元・大阪の高校に進み、ビジュアル系バンドに夢中になり、友だちと写真シールを撮りまくる「ギャル生活」を満喫した。自分の障害を深く意識することはなかった。

 だが進学でつまずいた。美容師か化粧品売り場の美容部員になろうと専門学校を探したが、車いすの学生を受け入れるところはなかった。高校卒業後は事務職に就き、一人暮らしを始めた。

 「障害者だからってなめられたくない」。そんな思いからサービス残業もいとわずにがむしゃらに働いた。23歳になり、3カ所目の職場に移ってしばらくすると異変を感じた。朝、布団から起き上がれない。うつ病だった。

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