私を裏切らなかったもの 野口みずきが経験した「奇跡」

有料記事

畑川剛毅
[PR]

 2004年のアテネ五輪女子マラソンを制し、東京五輪聖火リレーでは日本人最初のランナーを務める野口みずきさん(41)は、16年に現役を退いた後、サインを求められるといつもある言葉を書き添える。「奇跡」と語る経験を経て、その言葉は確信になった。

青信号は誰より早く

 金メダリストは、こと走りにかけては今もとんでもない負けず嫌いだ。横断歩道で、横の青信号が点滅すると「オン・ユア・マーク(位置について)」と言われているような気がして、自分の方の信号が青に変わった瞬間、誰よりも早く飛び出す。電車の乗り換えも同じだ。負けるわけにはいかない。150センチの体で駅の階段を2段抜かしで駆け上がり、先頭に立つ。

 「脚が壊れるまで走りたい」と最初に所属したワコールの入社面接で語った通り、マラソン選手として「やり切った」と言える自信がある。だから3年前に引退してから1年ほど、走りたくなかった。好きな時間に起き、自分のリズムで生活し、好きな時間に眠る生活を楽しみたかった。

 お酒が大好きで、強い。「両親とも強く、遺伝なのかな」。ビール、焼酎、テキーラと何でも来い。体重は現役時代と比べ7キロ増え、体脂肪は7%から27%になった。しかし、だんだん「体に何かがたまってきて」、いい汗をかきたくなった。

 今は月200キロ走る。毎日…

この記事は有料記事です。残り1066文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら