「あの役できなくなる」年齢の焦りぬけ 元宙組・陽月華
すみれForever:9
「年を重ねることがようやく楽しいと思えるようになった」という、元宝塚歌劇団宙(そら)組トップ娘役の陽月(ひづき)華(はな)さん。退団して10年。刺激を受けてきた同期の存在、トップ娘役時代のけが……さまざまな経験を踏まえて、「正解はお稽古場にある」と後輩たちに語りかけます。
宝塚歌劇団OGのみなさんが、次の人を指名しながらリレー形式で登場するインタビュー企画。今回は、元宙組男役の緒月遠麻さんから、陽月さんへ
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年を重ねることが楽しいな、と最近ようやく思えるようになりました。
宝塚をやめて数年は、すごく焦ったんです。在団中も、さよなら公演で頭にリボンをつけた時に、「そろそろ引き際だな」って。そういう意味で、年を重ねることに否定的だったり、ちょっと恐怖だったりとかを感じていました。覚えているのが、「次の誕生日を迎えたら、あの役もあの役も挑戦できなくなる」みたいな思い。
いまは、肉体が元気なら何でもできるんじゃないか、と思い始めました。開き直りともいえるんですけど。「若い役ができなくなる」って何で思ってたんだろう、といまは思うし。年齢を重ねて、昔読んでいた本をいま違う読み方ができることがすごく楽しいんです。役も同じで、それを感じて表現できる人になりたいと思います。
――2009年に退団。10年がたちました
早かったですよね。私の場合、20代は宝塚にいて、辞めて30代って感じで。ものの見方とか自分の社会的な立場とかが変わるときに、宝塚を出てきた。宝塚時代は、いい意味でも悪い意味でも組織に守られていたな、と。そういうところで地味にカルチャーショックを受けながら歩いた10年でした。
外に出たら、舞台のキャリアが10年ある人、として扱われる。私からすると、宝塚と外とは似て非なるもの。台本の読み方から、お稽古場でのやり方、役者おのおのの役割まで、仕事では学ぶことばかりでした。
同期が全員退団
――2000年に初舞台を踏んだ86期は、今年4月の花野じゅりあさんの卒業で、全員が退団しました
ちょっと感慨深かったです…
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