日韓「会談自体に意義」 演出の裏に抱える「時限爆弾」

有料記事日韓関係・GSOMIA破棄

成都=太田成美 神谷毅
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 日韓の首脳会談が24日、1年3カ月ぶりに実現した。元徴用工問題をきっかけに関係の冷え込みが続くなか、両首脳は改善に向けたムードを演出し、協議の継続では一致した。ただ、双方の主張には隔たりがあり、問題解決に向けた具体的な活路は見いだせていない。

 両首脳は中国・成都のホテルで向き合った。安倍晋三首相は会場の入り口で文在寅(ムンジェイン)大統領を迎えて握手。首相は会談冒頭で、「日韓両国はお互いに重要な隣国同士」「日韓、日米韓の連携は極めて重要」などと指摘し、「私としても、この重要な日韓関係をぜひ改善したい」と呼びかけた。

 一方の文氏も、首相の通算在任日数が歴代最長になったことに祝意を伝え、「日本と韓国は地理的にも歴史的、文化的にも最も近い隣国であり、貿易や人的交流の面においてもきわめて重要な、共に生きていく、そして繁栄するパートナーだ」と語った。さらに「一時期ぎこちないことがあっても、決して遠ざかることのできない仲だ」とも付け加えた。

 両首脳はこの1年3カ月間、会談するチャンスがなかったわけではない。6月に大阪で開かれた主要20カ国・地域首脳会議G20サミット)では、韓国側の打診した会談を首相が見送り、直後に韓国に対する輸出規制を強化した。韓国は猛反発し、日韓軍事情報包括保護協定GSOMIAジーソミア))の破棄を通告して関係は泥沼化した。

 転機は米国からの強い要請を受け、韓国が11月22日にGSOMIAの破棄を撤回したことだ。これを受ける形で、日本側は輸出規制強化をめぐる韓国との局長級協議「輸出管理政策対話」の開始に合意。今月20日には、日本が7月に輸出規制を強化した半導体材料など3品目のうち1品目について、一部を緩和した。

 文氏は24日の会談で、「日本が自発的な措置をとったことは進展だ。対話を通じた解決の誠意を見せてくれた」と述べ、局長級協議の再開を評価した。日本外務省の幹部は「実績が積み上がれば自然と規制は外していける」と説明する。

 1年3カ月ぶりとなる首脳会談は、予定を15分超えて約45分に及んだ。関係が悪化して以降、日本は韓国人訪日客の落ち込みや日本製品の不買運動に直面。韓国でも経済面の悪影響に懸念が広がる。日韓は成果よりも、今回の会談を行ったこと自体に意味を見いだそうとしている。

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 会談に同席した岡田直樹官房…

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