「虫の目レンズ」は内視鏡から 80歳現役の昆虫写真家

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小川直樹
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 土煙を上げ地面を蹴るバッタに、6本足を広げて飛び立つクワガタ。昆虫の一瞬をとらえた写真が映し出されるたびに、「わぁー」という子どもたちの歓声が体育館に響いた。

 昨年12月18日、栗林慧さん(80)は長崎県諫早市の真津山小学校で講演に立った。生まれたてで体が透き通ったカマキリの幼虫2匹が向き合う写真を見せ、子どもたちに語りかけた。「僕の耳には聞こえないけど、きっとあいさつをしているのでしょうね」

 旧満州で生まれ、3歳のときに父のふるさとの同県田平町(現平戸市田平町)に移った。自然に囲まれて育ち、幼少期は勉強より、昆虫採集に夢中になった。小学4年で父が他界し、親族のいる東京へ。「田舎から出てきた」とばかにされたが、昆虫のことを何でも知っていると知れると、一目置かれるようになった。

 中学卒業後、家計を助けようと工場や商店で働いた。カメラマンへの夢は19歳で自衛隊に入ったころには抱いていた。野外演習の出張にカメラを持って行っては、風景を写した。

 だが、撮りたかったのは昆虫だ。

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 成虫と幼虫の見た目が極端に…

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