未払い賃金請求、時効を3年に延長案 労働側は5年主張

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吉田貴司 滝沢卓
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 社員が未払い残業代などを会社に請求できるのは「過去2年分」までとする労働基準法の規定を「3年」に延ばす案が24日、厚生労働省労働政策審議会の分科会に示された。来年4月施行の改正民法で、お金をさかのぼって請求できる期間が「原則5年」になることを受け、労働者側は同じ5年に延ばすよう主張しているが、5年では企業の負担が増すと主張する使用者側に配慮した案になった。

 1896年制定の民法では、未払い賃金の請求権が消える時効は1年。それでは労働者の権利が守られないため、1947年制定の労基法には時効を2年とする特例が設けられた。だが、来年4月から民法の規定で時効が5年となり、労基法の特例の方が短くなるため、労政審の分科会が今夏から本格的に議論してきた。

 労働側の委員は民法に合わせて5年に延ばすことを要求。だが、使用者側は中小企業の負担が特に大きいなどとして、2年のままの現状維持を主に主張した。

 双方が譲らない状況を受け、24日には分科会長の荒木尚志・東大大学院教授ら有識者の委員が「見解」として折衷案を示した。労基法の未払い賃金の時効は民法の規定を踏まえて「5年とする」としつつ、企業の負担軽減などを理由に「当分の間は3年」とした。来年4月以降支払われる賃金から適用するという。さらに時効を延ばすかは施行5年後に改めて検討するべきだとしている。

 労使は後日、この案への意見を出すことになり、この日は合意しなかった。

 厚労省によると、未払い残業…

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