会社行けないと妻に言えず うつで休職6回、訪れた転機

有料記事患者を生きる

武田耕太
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【まとめて読む】患者を生きる・職場で「うつ」

 建築会社に勤める東京都内の男性(40)はうつ病になり、休職を6回繰り返してきました。1回目は人間関係のストレスがありましたが、2回目以降はこれといった理由は思い当たりません。朝起きた後に身支度が整わず、遅刻が増えていき、次第に気分が落ち込む――。うつ病のほかにも原因がひそんでいたことがわかってきました。

めまいから無断欠勤増え

 朝起きると、めまいがする。

 男性がそれを自覚したのは、2003年夏ごろ。建築会社に入社し、数カ月がたったころだった。

 我慢しながら毎朝、出勤していた。ただ、仕事中は緊張感もあるのか、めまいは感じない。「貧血に近い状態かも」。最初は、そんなふうに考えていた。

 しかし、次第にベッドから起き上がるのがしんどくなることが増え、会社を時々休むようになった。1日休んで回復し、翌朝は会社へ。でもしばらくすると、また朝起きてめまいを感じ、また休む。そんなことの繰り返しが半年ほど続いた。

 気になって、近くの耳鼻科を受診した。だが、「大きな問題は見つからない」と医師から言われた。ただし、立ち上がると血圧が低下する「起立性低血圧」があるという。「このせいで、めまいも起きているのではないか」と告げられた。

 山口県で育ち、高校生のとき、阪神大震災のニュースに触れた。「建築を通し、人の命を守りたい」。地元の大学で建築の構造設計を学び、就職のため上京した。

 1年目の職場は、建築現場だった。作業員に指示を出したり、図面を作製したり。指導をしてくれた先輩は、とても厳しかった。「仕事の段取りが悪い」と毎日のように怒られた。上下関係に厳しい、いわゆる「体育会系」。ほぼマンツーマンの指導で、きつく感じた。

 食べられなくなり、体重がどんどん減った。会社の寮で一日中、布団にくるまって過ごすことが増えた。「休んで同僚に負担をかけている」。後ろめたさを感じて「休む」と言い出せず、無断欠勤が増えた。頭がうまく働かず、どうしたらいいのか、判断がつかなくなっていた。

 職場のすすめで04年9月、心療内科を訪れた。1人では受診できず、山口から母親が上京し、付き添ってくれた。診断は「うつ病」。休職が決まり、山口の実家で静養することになった。

 このころはまだ、その後、復職と休職を繰り返すことになるとは、思いもしていなかった。

再び休職、原因わからないまま

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 処方された抗うつ薬をのみ…

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