社会を変える「正直な紅茶」 挑んだ米起業家の物語

有料記事地球を食べる

ベセスダ=土佐茂生
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 私はとくに健康志向というわけではないが、米国で手にするペットボトルは水か炭酸水、日本茶、たまに「ダイエット」のコカ・コーラに限られている。1日に1回はコーヒーも飲むが、砂糖は絶対に入れない。つまり、飲料水で糖分を取ることは、あまりない(とはいえ、チョコクッキーなどの間食はしまくっているので、やっぱり健康的な食生活ではない)。

 そこで困るのは、米国で売られているペットボトルの紅茶だ。とにかく、甘い。ラベルにも「甘い」と書いてある。隣にある種類はきっと「無糖」だと思い込んで手に取ったが、飲んでみると、びっくりするほど甘かった。ラベルを見ると「超甘い」と書かれていた。

 20年以上前、同じ思いを抱いた青年がニューヨークにいた。セス・ゴールドマン氏(54)だ。

 32歳だった1997年、セントラルパークをジョギングした後、飲み物を買おうとして立ち尽くした。

 「甘すぎるか、人工保存料入りばかり……。棚にはたくさんの飲み物が並んでいたけど、私ののどの渇きには、どれも役に立たないものばかりだった」

 ゴールドマン氏は投資会社に勤めていたが、学生の頃から、世の中に影響を与え、社会や人々の暮らしを良い方向に変えるような仕事をしたいと思っていた。飲料水が並ぶ棚をながめながら、一つのアイデアを思いつく。甘さ控えめで、健康志向の飲料水を作ってみよう。

 「私がビジネススクールで勉強していた時から、誰もやっていない『隙間』『空白地帯』を探していた。これだったんだと気付いた」と振り返る。

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 ゴールドマン氏はすぐに、イ…

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