「帰国しても午後には戻る」 中国で働く北朝鮮労働者

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ウラジオストク=編集委員・牧野愛博 瀋陽=平井良和 ソウル=神谷毅
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 国連が加盟国に対し、自国で働く北朝鮮の労働者を送り返すよう義務づけた期限が22日、経過した。北朝鮮は外貨獲得の手段をまた一つ失う形だが、軍事挑発を緩める気配は見えない。制裁解除をめざした米朝協議が行き詰まるなか、強硬姿勢をとり続けられるのはなぜなのか。背景には、米朝対話をてこに取り戻した中国との蜜月関係がある。(ウラジオストク=編集委員・牧野愛博、瀋陽=平井良和、ソウル=神谷毅)

 労働者の送還期限を控えた20日午前、平壌との直行便が飛ぶロシア極東のウラジオストク空港では、大きな荷物を抱えた100人近い北朝鮮労働者が出国を待っていた。ロシア人の闇両替商が労働者に声をかけ、しわくちゃのルーブル札を受け取っては、1ドル札や5ドル札と交換していく。

 かつて自らも労働者としてロシアに派遣され、そのまま脱北した男性(57)は「人々はロシアで入手したもの全てを持ち帰ろうとして、荷物が増える。北朝鮮ではルーブルがほとんど使えず、現金も米ドルに替えて持ち帰らないといけない」と解説した。

 空港にいた労働者たちに話を聞くと、周囲を気にしつつ「5年ぶりに帰る」「建設労働で働いた」「生活はどこにいても苦しい」と短く答えた。ロシア再訪の可能性は、全員が「わからない」とつぶやいた。

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 北朝鮮国営の高麗航空による…

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