医学部入試で「年齢差別あった」 男性が順天堂大提訴へ

山下知子
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 順天堂大医学部入試で年齢を理由に不当に不合格にされたとして、社会人経験のある元受験生の男性(34)が近く、大学に対し、数千万円の賠償を求める訴訟を東京地裁に起こす。一連の医学部入試不正をめぐっては、性別を理由に不合格にされたとして元受験生の女性が提訴しているが、年齢を主な理由にした提訴は初めて。

 訴状などによると、男性は2018年度入試で、順天堂大の3種類の入試を受けた。一つは1次試験で不合格、二つは2次試験(最終試験)で不合格とされたが、不適切入試が発覚した後の昨年12月、大学側はいずれも合格だったと男性に通知した。

 大学が設置した第三者委員会の調査報告書によると、同大は女子や浪人回数の多い受験生が不利になる基準を設けていた。

 男性は2浪で、入試の一つではその基準も超えていたが、なお不合格とされた。受験生の多くが20歳前後の中、30歳超の年齢に対する「更なる差別があった」と訴える。

 大学は昨年12月の記者会見で、男性の不合格について「浪人年数に加え、特殊な事情があった」と説明。訴状によると、男性に「(社会人経験者が)入学後必須の1年間の寮生活という集団生活の中にあえて入るのはフィットするのかということを懸念した」と説明したという。男性は「普通ではない特殊な人物であるかのように言われ、名誉を傷つけられた」としている。

 男性は昨年4月、西日本の大学医学部に進学。妻との別居を余儀なくされた。順天堂大について、教育を受ける権利を定めた憲法26条や、「大学は、年齢、性別、国籍、家庭環境等に関して多様な背景を持った学生の受け入れに配慮する」とした文部科学省の大学入試の実施要項などに反するとし、受験料や別居に伴って発生した費用のほか、社会的名誉や自尊心を傷つけられたなどとして慰謝料を求めている。

 男性は「年齢差別は許されるという考えが今も大学側にあると感じた。この現状に問題提起したい」と話す。順天堂大は「コメントは差し控えさせて頂きます」としている。

 医学部入試をめぐっては昨年、東京医科大で女子や浪人回数の多い受験生への得点抑制などが判明したことをきっかけに、順天堂大などで問題が発覚した。(山下知子)

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