終わらぬ介護17年…父、叔母、そして母 疲弊する家族

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畑山敦子 中村靖三郎
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 福井県で11月、90代の両親と息子の遺体が見つかった事件では、殺人容疑で逮捕された息子の妻が介護疲れを明かしていました。事件後、朝日新聞には、家族を介護している人や介護を経験した人から多数の手紙やメールが届きました。「身につまされた」「自身の経験からも胸が詰まる思いがする」……。つづられていたのは、介護現場の厳しい現実と疲弊する家族の姿でした。

02年から遠出も旅行もしていない

 仙台市のピアノ講師の女性(69)は、福井の事件に接し、「防ぐ方法はなかったのかと心が痛んだ」とメールにつづった。

 女性は、母(94)を介護している。父と叔母の介護も経験した。1人で介護を担う生活が、2002年から17年続く。最初は父を介護した。その後、父と母、母と叔母を同時にみた時期もあった。独身で、唯一のきょうだいの兄は早くに亡くなった。02年、父が体調を崩し、介護が必要になった。5年後には母の介護も加わった。

 父は、身の回りのほぼ全てで介助が必要になっていった。嚥下(えんげ)障害があって胃ろうもつけていた。朝起きるとまず父をトイレに座らせ、父が用を足す間、台所で急いで栄養剤を準備。再びトイレに戻って排泄(はいせつ)の世話をして、父を部屋に連れて行き、栄養を注入する。終わると、大腸がん肺がんを患う母の食事の支度が待っていた。

 父はデイケアや訪問介護を利用していたが、「自宅で暮らすのが自然なこと」と施設で生活させることは考えず、ショートステイも使わなかった。

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 自宅で2人を介護するのは大…

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