高齢者の睡眠薬・抗不安薬どう減らす? 自己判断は禁物

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松浦祐子 編集委員・田村建二
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 転倒や骨折につながりやすいとして、高齢者には特に注意が必要な睡眠薬・抗不安薬の大半が、高齢者に処方されていた。ただ、こうした薬は依存性が高く、自己判断でやめようとすると、かえって危険が大きい。どのように減らしていけばいいのか。

 70代後半の女性は10年ほど、東京都大田区の自宅マンションに閉じこもる生活を続けていた。夫と2人暮らし。1日の大半をベッドで過ごし、食欲はない。体はやせ、歩くことすら難しくなった。

 20代のころからよく眠れなくなり、睡眠薬をのみはじめた。自営業で昼夜なく忙しく働き、しばしばうつ症状を起こした。自殺をしようとしたこともある。大学病院でベンゾジアゼピン(ベンゾ)系の睡眠薬や統合失調症薬を処方されのんでいたが、症状は改善しなかった。

 一昨年8月、区内の在宅療養支援診療所「たかせクリニック」の高瀬義昌医師に訪問診療を頼んだ。高瀬さんは「うつ症状への治療が必要」と判断し、ベンゾ系の薬に抗うつ薬を追加した。女性の体調や様子を見ながら、約1年かけて薬を調整。眠れるようになってきたことを確かめ、ベンゾ系薬を少しずつ減らしていった。女性はいま、睡眠薬なしで午後10時ごろに寝て、午前6時に起きる。昼間はヨガやウォーキングに出かけるようになった。「食欲も出てきて、以前より8キロも太ってしまいました」と笑顔を見せる。

 デパスやハルシオンなどの商品名で知られるベンゾ系薬は、効き方の特徴によって睡眠薬と呼ばれたり、抗不安薬と呼ばれたりする。のむと不眠や不安などの症状が比較的早くやわらぎやすい。ただ、高齢者がベンゾ系の薬を使うと、転倒や認知機能障害が起こりやすくなるという研究が数多くある。

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 高齢になると、薬を分解して…

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