異次元緩和の巨大なひずみ 目をつぶり続ける黒田日銀

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編集委員・原真人
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 日本銀行は今年最後の金融政策決定会合(12月18~19日)で金融政策の現状維持を決め、19日夕、黒田東彦総裁が今年最後の定例記者会見を開いた。その内容は、あいかわらず想定問答原稿の棒読みである。日銀が政策を失敗していることの総括も、積み上げている国民負担リスクについても何の説明もなかった。

 黒田日銀が「異次元緩和」と華々しく打ち上げてデビューしたのが2013年4月。気がつけば、あれからまもなく7年になろうとしている。

 黒田総裁は最初の記者会見で「2年程度で2%インフレを達成する、そのためにマネタリーベース(日銀が市場に投入するお金の総量)を2倍に、日銀が買う国債を2倍に引き上げる」と公約した。「2年・2%・2倍・2倍」で市場を驚かせた、あの会見だ。

 さて、それから2年どころか6年8カ月たった。いま目標の達成度はどうなったのか。

 マネタリーベースは2倍どころか、3・5倍の511兆円になっている。しかし消費者物価指数の上昇率は0・5%前後にとどまる。2%目標よりはるかに低位を“安定”して推移しているのだ。(私は個人的にはこの安定状態を無理に変える必要があるのか疑問に思っている)

 つまり7年たっても目標達成できる兆しがない、ということだ。論理的に考えればこれは「手段」が誤っていたか、「目標」をまちがえていたか、あるいはどちらもまちがえているか、いずれかである。

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 少なくとも、日銀が世界最大…

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