「女のくせに」変えたくてデモ 性暴力訴えづらい社会で

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岡林佐和 伊藤恵里奈
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 望まない性行為で精神的苦痛を受けたとして、ジャーナリストの伊藤詩織氏(30)が元TBS記者の山口敬之氏(53)に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は18日、伊藤氏の訴えを認めて山口氏に330万円の支払いを命じた。性暴力に対して「ノー」の声を上げる動きは広がっている。2017年に米ハリウッドを震源に広がった#MeToo運動では、性被害が世界各地で告発された。日本でも今月11日には全国約30カ所で、性暴力に抗議する「フラワーデモ」が開かれた。

 長野市で主催した女性(53)は伊藤氏の勝訴に「ほっとした」と話した。「多くの女性たちが同じ思いで見守ったと思います。声を上げた時の風当たりの強さを心配したけれど、だんだん応援する人が増えた。伊藤さんのぶれない姿勢に、あきらめちゃダメなんだと教えてもらった」

 女性が長野でフラワーデモを始めたのは6月。娘への強姦(ごうかん)罪に問われた男が無罪になったニュースを見て怒りを感じ、何かしたいと思ったからだ。会社帰りに1人、駅前に立った。高校時代、自転車で帰宅途中に、バイクの男から追い越しざまに胸を触られた。親には「夜に出歩くお前が悪い」と言われたという。

 職場でも「女のくせに意見をするな」と言われる。「女性がものを言うべきではない、という空気が強い。小さくても声を上げることで、地方の空気を変えたい」。毎月11日のデモにツイッターで参加を呼びかけ、今月は男女12人が集まった。

 デモは、父親から娘への継続的な性的虐待を認めながら「抵抗が著しく困難だったとはいえない」とするなど、性暴力に対する無罪判決が3月に4件相次いだことから東京で始まった。上智大学の三浦まり教授(政治学)は「明らかにおかしい。被害者が救済される仕組みができていない。政治や司法の世界に、男性が圧倒的に多いからだ」と指摘する。9月の東京でのデモには、伊藤氏も参加。「何かあったらすぐに声を上げられる環境をつくりたい」とスピーチした。

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 伊藤氏は就職相談のために山…

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