性もAIも、少女漫画で予言した 竹宮恵子が語り尽くす

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聞き手・吉田美智子
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 ベッドの上に横たわり、シーツにくるまる2人の少年、絡み合う足と足――。漫画家の竹宮恵子さん(69)は40年以上前、少女漫画『風と木の詩(うた)』(1976年)で同性愛や小児性愛、近親相姦(そうかん)などあらゆるタブーに挑戦し、社会に衝撃を与えた。また、SF漫画『地球(テラ)へ…』(77年)では、環境破壊の末にAI(人工知能)に支配される地球を描いた。いまの社会を予言するような数々の作品の制作秘話などを聞いた。

少女たちは過剰に守られていた

――フランスの寄宿学校での少年ジルベールとセルジュの恋愛を描いた『風と木の詩』で社会に衝撃を与えたのは、まだ20代でした。

 私たちの年代なら、20代後半というのが一番、脂がのっている時期だったと思います。一番いい時期にそういう仕事ができて、良かったです。

――社会の少数者や異端といわれる人たちの苦しみや葛藤をストーリーにのせながら、うまく描いています。

 あの若さで、そんなところに踏み込むことを許すのは漫画の世界しかない。文章の世界であれを書こうと思ったら、いろんなところから批判とか、あるんじゃないかと思います。当時、漫画っていうのは、そういう意味で、誰からも口を挟まれない「新しいメディア」でした。

 ただ、口を挟まれないからこそ、緊張するんですよね。良くないことを描いてはいけない。自分の論に自覚、自信を持って描かないと。誰からも口を挟まれない分、責任をとらないといけないという気持ちがありました。私、こんな大胆なことを描いている。でも、誰も止める人はいないという緊張感です。担当の編集者ですら、意見を言う立場であっても、具体的に口をはさむことはできない。漫画を描くっていうことが、新しい言葉を使っているようなものでしたね。

――当時の少女漫画は、元気で明るい女子が男子を好きになって、キスして終わりが大半でした。性の世界に踏み込まれようと思われたのはなぜですか。

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 私は少女たちがセックスを解…

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