突然売れ出した作業服…なぜ? ワークマンは気がついた

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土居新平
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 郊外の幹線道路沿いを中心に全国で850店超を構え、作業服で知られる群馬・伊勢崎発祥の「ワークマン」。最近は一般向け衣類でも人気を集めている。工事現場などで働く人向けの衣料品をカジュアル化したところ、機能性と安価さが受け、ネットから人気に火がついた。売り上げは前年比ふた桁増の勢いが続く。「発想の転換」を生んだきっかけは、本来はプロ向けの商品の意外な使われ方だった。

 12月上旬、千葉県松戸市のショッピングセンターに入っている「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」。店内は平日にもかかわらず多くの客で混み合っていた。

 この店はワークマンが昨年9月に始めた新業態だ。自主開発ブランド(PB)のアウトドアやスポーツウェアを扱い、作業服などのいわゆる「プロ向け」は扱っていない。

 店内には防寒着やズボンなどが並び、価格帯は税込み2900~3900円程度が中心。妻と訪れていた千葉県内の会社員三木啓嗣さん(34)は「よくバーベキューをするので、アウトドア用の服がすごく安く買えるのはとてもいい」。

 電気工事会社経営の中沢武三さん(66)は普段、ロードサイドのワークマンでよく靴や作業着を買うが、この店に来るのは初めて。「女性も入りやすく、ワークマンのイメージが変わった」と話す。

 現場の作業者向けの軍手や服、建設会社のユニホームなどを長く売り、プロ向けの自社ブランド商品も手がけるワークマンが一般向け商品に参入したのはごく最近だ。きっかけは、意外なヒット商品が生まれたことだった。

大ヒットの秘密とは。今後の成長や方針など聞いた、小浜英之社長の一問一答も。

 2012年ごろ、以前から販売していた防水防寒ウェアが突然、売り上げを伸ばし始めた。上下で税込み6800円。東北など寒冷地での作業員向けを想定した商品だった。しかし、ネット上のSNSでの書き込みを調べてみると、主に買っていたのはバイク乗り。風を通さない機能が好評だった。

 15年ごろの梅雨時には「厨房(ちゅうぼう)シューズ」と呼ばれる靴がネットで話題になった。もともとは、油や水で滑りやすい中華料理店や鮮魚店などで働く人向け。ところがSNS上では「雨の日にタイルの上を歩いても滑りにくい」と、妊婦に好評だった。作業員向けのカッパが、釣り人に買われていることもわかった。担当者は「ワークマンの商品が一般向けにもこんなに需要があるとは全く気がつかなかった」。

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 こうした動きも受けて16年…

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