EU離脱の英国、向かう先は植民地時代の遺産残るアジア

有料記事

[PR]

 かつて世界の海を支配した大英帝国。長い時を経て、英国が再びインド洋から太平洋までの広大な海に関与を強めている。米中対立の激化や欧州連合(EU)離脱などの環境の激変を受け、新たな国家像を模索する動きのようにもみえる。日英の安全保障に詳しい英ロンドン大学キングスカレッジ戦争学部のアレッシオ・パタラーノ教授に聞いた。

Alessio Patalano

1976年、イタリア・ナポリ生まれ。イタリアやフランスで学び、ロンドン大学キングスカレッジで博士号。2009年から同カレッジで教えており、日本プログラムディレクターも務める。英国のシンクタンク「ポリシー・エクスチェンジ」のシニアリサーチフェロー。東アジアの安全保障や日本の戦史・防衛戦略が専門。

 ――今年6月、英下院の「英国の防衛と極東アジア委員会」で証言し、「“極東”から“インド太平洋”へ」と題した政策提言を提出したそうですね。極東という言葉を使うのをやめ、より広い地域と捉えて関与を深めるべきだとの内容です。いまなぜ議論しているのですか。

 「委員会がこの地域の研究をするのは三、四十年ぶりで、関心の高さを示しています。中国の海洋権益拡大の動きが脅威となるなか、英国の同盟国である米国や、友好国である日本のような国々の安全保障に関わるなら、この地域に関与しないわけにはいかないという認識です」

 ――EU離脱後、英国単独では国際的な影響力が低下するという心配が背景にあるのでは?

ここから続き

 「この議論はEU離脱が決ま…

この記事は有料記事です。残り1809文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら