小林豪 聞き手・小林豪
共産党は来年1月の党大会で16年ぶりに綱領を一部改定し、中国を念頭に大国主義・覇権主義を批判する内容を盛り込む。中国共産党との立場の違いを示す一方、将来的に政権の一翼を担う可能性を視野に、野党連携や幅広い支持獲得に向けた姿勢を打ち出す狙いがある。
綱領改定案では、中国共産党に関する「社会主義をめざす新しい探究が開始され」などとする一文を削除。中国やロシアを念頭に「いくつかの大国で強まっている大国主義・覇権主義は、世界の平和と進歩への逆流となっている」などと追記した。党大会で採択される。
綱領は1961年に決定され、今回の一部改定は2004年に全面改定されて以来初めて。中国が南・東シナ海を中心に海洋進出を進め、沖縄・尖閣諸島周辺の日本領海に公船を盛んに侵入させるなどしている対外的な変化を受けた。志位和夫委員長は「共通する政治的・思想的立場はなく、核兵器への態度や覇権主義の行動、人権侵害は『共産党』の名に値しない行動だと考える」と理由を説明した。
改定には野党共闘を円滑化させる狙いもある。党大会では「野党連合政権」を22年までに樹立するとの決議も了承する。
立憲民主党など他の野党には、共産党との選挙協力には前向きながら連立政権の樹立には消極的な声も多い。綱領には「社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革」の文言があり、国家像のズレを懸念するからだ。志位氏は「中国共産党による社会主義へのマイナスイメージが障害になっている」と指摘。党内には改定が「野党共闘を進める力になる」と期待する声がある。
さらに野党連携を進めるため、党大会の決議には、他党の抵抗が強い「日米安保条約の廃棄」「憲法第9条の完全実施(自衛隊の解消)」など綱領に掲げる独自見解について「政権に持ち込むことはしない」とも明記する。(小林豪)
■志位委員長「綱領改定で誤解を…