トランプ氏「驚異的ディール」 米中摩擦、初の関税緩和

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ワシントン=青山直篤 北京=福田直之
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 米中両政府は13日、中国による米農産物の輸入拡大と追加関税の緩和を柱とする「第1段階の合意」を正式に発表した。双方が15日に発動を予定していた追加関税「第4弾」の残り分の発動は見送る。米側によると、来年1月初旬にも合意文書に署名し、その1カ月後に「第4弾」の発動済み分の追加関税を半減させる。

 昨年7月の制裁発動以来、米中が関税を引き下げるのは初めてで、世界経済の不透明感が和らぐことになる。ただ、米大統領選が近づく中、歩み寄りやすい分野に絞った部分合意で、中国の産業補助金など難題は先送りされた。追加関税の多くも継続となり、対立が再燃する可能性がある。

 トランプ米大統領は13日、記者団に「驚異的なディール(取引)だ。すさまじい量の工業製品や農産品をカバーしている」と述べた。政府高官は電話会見で「中国は工業製品、農産物、エネルギー、サービスの4分野で、今後2年間で少なくとも計2千億ドル(約22兆円)の輸入を増やすと約束した」と説明。貿易摩擦前の2017年から年間ベースで5割増しになる規模だ。カドロー国家経済会議議長は会見で、最終文書について「ライトハイザー米通商代表と中国の劉鶴(リウホー)副首相が数週間で署名する」と説明した。

 ライトハイザー氏はロイター通信に対し、貿易摩擦前に年240億ドルだった米国産農産物の輸入を、中国が今後2年間、年400億ドル以上にすると確約したと述べた。年500億ドルを目指すことも合意した、としている。

 米側は署名から1カ月後、9月に15%をかけた追加関税「第4弾」の約1200億ドル分を7・5%に半減させるが、「第1~3弾」の2500億ドル分は現行の25%を継続する。

 中国政府は13日深夜、5省庁の次官が記者説明会を開き、「平等と相互尊重の原則に基づいて、第1段階の文書で合意した」と発表した。知的財産や技術移転、食料と農産物、金融サービスなど九つの章が含まれるとし、「中国と米国、世界の基本的な利益に有益だ」と評価した。

 出席者によると、15日に予定する対米追加関税は見送る方向だ。発動済みの追加関税を緩和する範囲は明言せず、米側が主張する年500億ドルの輸入拡大や署名時期も言及しなかった。(ワシントン=青山直篤、北京=福田直之)

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