漫画の「トーン」が絶滅危機 嘆く作家に届いた熱い展開

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加藤勇介
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 漫画表現でキャラクターの陰影や背景の装飾に欠かせないトーンの生産が激減している。背景には作画のデジタル化があり、経営破綻(はたん)する販売会社も出た。しかし、破綻で消えてしまったトーンを、アナログ漫画を守るためと、ライバル会社が復活させようとしている。

 「沢山お世話になりました。家にある分を大事に使わせていただきます。さみしいです…」(「ハチミツとクローバー」「3月のライオン」の羽海野チカさん)、「ショックを受けてます。アナログ漫画描きなので、道具があんなに充実していたのに…と過去を思う日が来るとは…」(「ちはやふる」の末次由紀さん)。今春、トーンの人気ブランド「Jトーン」の販売会社の事業停止が報じられると、SNS上には漫画家から惜しむ声が次々と寄せられた。

 トーンとは、網、罫線(けいせん)、グラデーション模様など様々な柄が印刷されたフィルムシール状の画材のこと。描いた原稿の上にトーンを置き、例えばキャラクターの髪や服、背景など模様を付けたい箇所に合わせてカッターなどで切って貼り付けて使う。

 元々は建築デザイン業界で使われていたが、細かな模様を手書きで描く作業がトーンを貼るだけで済むので省力化につながると、1950年代ごろから漫画業界でも使われるように。利便性の高さから、手塚治虫作品からアマチュア漫画まで幅広く使われ、かつては漫画入門書で「トーンの使い過ぎには気をつけよう」の言葉が定型句になるほどだった。

 トーンを貼った後にカッター…

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