ナウシカ歌舞伎どう見た 切通理作氏「やはり全方位的」

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聞き手・構成 太田啓之
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 ジブリファンと歌舞伎ファンの双方に衝撃を与えた、歌舞伎版『風の谷のナウシカ』。25日まで新橋演舞場で上演され、来年2月14日からは全国の映画館で期間限定のディレイビューイングも始まります。アニメとしても有名な作品を、一見異質に思える「歌舞伎」の世界に落とし込む試み、その成否やいかに。『宮崎駿の〈世界〉』という著書もある評論家の切通理作(きりどおし・りさく)さんに、スタジオジブリを長年取材してきた記者が観劇後、オタク目線で徹底的に切り込みました。

歌舞伎でなければ無理だった

 ――今回の歌舞伎の原作となったのは、1984年公開のアニメ映画版ではなく、完結までに12年をかけた全7巻の漫画版です。明快な展開で親しみやすいアニメと違って、漫画版は宮崎駿の苦悩がそのまま形になったような複雑難解な大長編で、ディープな宮崎ファン・オタク以外には近づきがたい面もある。こうした作品を歌舞伎にする野心的な試みを、切通さんはどう受け止めましたか。

 「仮に漫画版を映画化しようとすれば、何作かにまたがって作らないと無理でしょうね。『ナウシカ』は映画化に先立ち、82年から漫画の連載が始まっていますが、宮崎駿監督自身もナウシカを映画化する際、漫画版の設定を大幅に変更・簡略化していました。ラストも、『奇跡の物語』に仕立てざるを得なかったと、のちに語っていますよね」

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 「漫画版は、ナウシカが戦争…

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