日韓関係における「正しい謝り方」とは 大澤真幸さん

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聞き手・太田啓之
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 なぜ、多くの韓国人は過去の経緯についての日本政府の度重なる謝罪を受け入れず、日本を嫌い続けるのか。社会学者の大澤真幸さんは、その理由を「日本人の謝り方が間違っているから」と指摘する。「正しい謝り方」とは何か。そして大澤さんが提案する「北朝鮮問題をテコとする関係改善への道」とは?

「憧れ」なき日韓関係

 ――日韓関係がここまでこじれているのはやはり、日本が朝鮮半島を植民地支配していたことが大きな原因なのでしょうか。

 「かつてはヨーロッパの国々も多くの植民地を持っていましたが、植民地出身のエリートたちは、欧州の本国に対して反発だけではなく、その文明に憧れる面もありました。自分たちはすでに欧風に洗練されているのに、人生の範囲は植民地に限定されている。そんなエリートたちのルサンチマンが独立を目指すナショナリズムへとつながっていった」

 「だけど、朝鮮半島の人々にとって日本は全然先進国ではなかった。当時の中国・清朝は騎馬民族の満州族が支配していましたから、朝鮮半島の人々は『自分たちこそが中華文明の正統的な後継者で、東アジア文明の中心だ』と信じていた。それなのに、格下だと思っていた日本に植民地化されたのですから、屈辱感しか残っていない」

 ――「日本の植民地支配は、朝鮮半島の近代化に貢献した」と主張する人も少なくありません。

 「それが全面的に誤っているとは思いませんが、日本の朝鮮半島における近代化政策はヨーロッパのまねをしただけです。日本が韓国からリスペクトを受けることは難しい」

 ――日韓の歴史的背景を克服するのはなぜ、これほどまでに難しいのでしょうか。

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 「日本国内の歴史でも『関ケ…

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