きっかけは内部告発 1からわかる、トランプ氏弾劾訴追

有料記事

真海喬生 宋光祐 園田耕司 土佐茂生 渡辺丘
[PR]

 トランプ米大統領が「ウクライナ疑惑」をめぐって、下院から「権力の乱用」と「議会の妨害」で弾劾(だんがい)訴追された。200年を超える米国史上、大統領の弾劾訴追は3回目。疑惑の内容や、弾劾裁判の手続きについて紹介する。(真海喬生、宋光祐、園田耕司、土佐茂生、渡辺丘)

疑惑1 権力の乱用

 ウクライナ疑惑の中核は、トランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領が7月25日に行った電話会談だ。この時、トランプ氏は民主党バイデン前副大統領とその息子に関する「疑惑」の調査を始めるよう、ゼレンスキー氏に求めた。

 ホワイトハウスが後に公開した通話記録によると、トランプ氏は「好意として、して欲しいことがある」と発言。さらに「バイデン氏が捜査をやめさせたなど、いろいろなことが言われており、多くの人が知りたがっている。米国の司法長官と何らかの協力をしてくれれば、ありがたい」と話した。

 「捜査をやめさせた」という「疑惑」は、2015年にさかのぼる。当時、ウクライナは親欧州の政権ができ、欧米諸国や国際機関が支援していた。しかし、検察の腐敗などが問題となっていた。バイデン氏はその対策のためにショーキン検事総長の解任を求め、16年に実現する。

 バイデン氏の息子のハンター氏は当時、ウクライナのガス会社の役員を務めていた。このガス会社も検察の捜査対象になっていたため、トランプ氏は「バイデン氏が息子を守るために、検事総長を解任させた」と主張しているのだ。ただ、ハンター氏が捜査対象だったという証拠はない。

 トランプ氏や、顧問弁護士のジュリアーニ元ニューヨーク市長は以前からこの「疑惑」について発言していたが、政権がウクライナ側への働きかけを一気に強めたのは、コメディアン出身で政治経験がないゼレンスキー氏が今年4月に当選してからだ。駐ウクライナ米大使を解任し、ソンドランド駐欧州連合(EU)大使らに対し、ジュリアーニ氏と協力してウクライナと交渉するよう指示をした。

ここから続き

 弾劾調査で出た証言によると…

この記事は有料記事です。残り2483文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら