総理の器「耐えること」 足場固める岸田氏にちらつく影

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西村圭史 石井潤一郎
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 政権の座を譲り受ける「禅譲」路線に現実味はあるのか。「ポスト安倍」をめざす自民党岸田文雄政調会長(62)が、岐路に立っている。

 勤労感謝の日の11月23日、岸田氏は福井市内の大学で講演していた。

 「出身は広島ですが、福井とはありがたいご縁をたくさんいただいています」。岸田氏は昨年秋、福井で後援会を立ち上げた。前日22日には、兵庫で後援会を新設。地元・広島を除く地方後援会は7カ所に増え、来年は熊本でも立ち上げる計画だ。

 安倍晋三首相(65)が「後継」に目しているとされる岸田氏の視線は、いま地方を向く。永田町では「ポスト安倍の最右翼」(細田派幹部)との呼び声も高い岸田氏だが、ポスト安倍を問う世論調査では、これまで3度の総裁選に挑んだ石破茂・元幹事長(62)に水をあけられている。

 総裁選は国会議員票と党員・党友による「地方票」で決する。世論に近いとされる地方票で、昨年秋の総裁選で45%の得票を得た石破氏にどう対抗するか。岸田氏の課題は明白だった。

 8月末、岸田氏は東京・月島でその石破氏と、もんじゃ焼きをつついていた。同世代の党の面々による、7月生まれの岸田氏のための遅めの誕生会だった。

 「岸田さん、このままでいいと思うの」。石破氏は岸田氏にそう問いかけた。いまの日本社会と政治のありようをどう考えるのか。率直な意見交換を求めたのだ。「いや、このままでいいとは思わない」。そう応じた岸田氏に、石破氏は「ではどうするの」と重ねて問うた。だが、岸田氏はそれには直接答えずに笑顔を浮かべた。

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 歯切れが良い理想家肌の石破…

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