民事改革で裁判オンライン化、海外取引を支援 政府方針

有料記事

板橋洋佳
写真・図版
[PR]

 企業や個人による国境を越えた取引が活発化し、契約などをめぐる民事トラブルが増えたことに対応するため、政府が民事司法制度の改革に乗り出す。関係省庁による連絡会議が近くまとめる骨子案で、民事裁判のすべての手続きのオンライン化や、海外との取引でトラブルを抱える消費者の支援強化などを盛り込む。

 政府は今年4月、法務省消費者庁などによる連絡会議を立ち上げ検討してきた。骨子案を元に来年3月に最終方針を決め、民事訴訟法や特許法など必要な改正や体制整備に着手する。

 改革の目玉は民事裁判手続きの全面オンライン化だ。日本の民事裁判は、解決や手続きに時間や手間がかかるといわれてきた。最高裁によると、2018年の民事裁判の審理期間は平均9カ月。証人調べがあれば同21・5カ月に延びる。現行の民訴法では、訴状などの書類は裁判所に持参するか、郵送やファクスで送らなければならない。審理でも当事者が裁判所に出廷する必要がある。

 このため外国企業は日本での訴訟に消極的で、オンライン化が実現した米国などの司法制度下で訴訟が行われることが多い。日本企業も外国の法律や司法制度に従って訴訟を進めなければならなかった。

 政府関係者によると、骨子案では、日本語で書面が作成されていれば、訴状の提出から口頭弁論や証人尋問、判決までの手続きをオンライン化し、裁判の効率化と迅速化を目指す。実現すれば国内外のどこにいても訴訟を進めることができ、「日本の司法制度の国際競争力を高める効果がある」(政府関係者)と見込む。段階的に進める予定で、完全実施までには5年以上かかりそうだ。

ここから続き

 海外旅行時のホテルや航空券…

この記事は有料記事です。残り269文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら