町に伝わる古い「洋剣」、実は国産だった 水口レイピア

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筒井次郎
【動画】西洋式の長剣「十字形洋剣」は、国内で模造されたものだった=筒井次郎撮影
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 滋賀県甲賀市水口町で、戦国武将のものと伝わる西洋式の長剣「十字形洋剣」(17世紀前半、江戸初期)は、国内で模造されたものだった。東京文化財研究所(東文研)や市教育委員会などが調査し、西洋と異なる技術跡を確認した。ただモデルの洋剣の由来や誰が作らせたのかは謎だ。

 長さ104・5センチ、刃の幅1・5センチ前後でフェンシングの剣のように細長い。「レイピア」と呼ばれ、16~17世紀の欧州で用いられた突き刺すタイプの剣だ。柄(つか)(持ち手)には複雑な装飾が施されている。国内で唯一確認されている当時の洋剣とみられ、地名から「水口レイピア」と名付けられた。

 洋剣は、豊臣秀吉に仕え、賤(しず)ケ岳の合戦で「七本槍(しちほんやり)」の一人として名をはせた戦国武将・加藤嘉明(よしあき)(1563~1631)の所持品と伝わる。後に水口藩主となった加藤家は江戸後期の1829年、嘉明を祭る社(現在の藤栄(ふじさか)神社)を建てた。その際、嘉明ゆかりの宝物として納められた。

 東文研の小林公治・広領域研究室長らの調査チームが2013年から調べた。小林さんがこの年に洋剣の存在を知り、レイピアを収集する米国・メトロポリタン美術館の専門家から「西洋製レイピアのようだが少し違う」と指摘されたという。

 西洋製と異なる構造の一つは、剣と柄の接合部だ。CTスキャンで断面を調べると、接続部はネジ状になっていた。柄頭(つかがしら)(柄の先端部)を回転させ、ネジで締めて固定したらしい。

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 西洋の固定法は剣を柄に突き…

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