日本の財政危機「誇張されている」 サマーズ氏語る

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ケンブリッジ〈米マサチューセッツ州〉=青山直篤
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 米クリントン政権で財務長官、その後ハーバード大学長を経てオバマ政権で国家経済会議議長も務めたローレンス・サマーズ氏が朝日新聞のインタビューに応じた。リーマン・ショック後、先進国を中心とした金融緩和でもインフレが起きず、低成長にとどまる状況を「長期停滞」だと主張してきた。今回のインタビューでは、こうした低成長下での財政拡大の必要性を強調し、日本の消費増税に疑問を呈した。世界的な低成長による格差拡大が将来不安を呼び、さらなる低成長を招く悪循環となっているとも指摘した。主なやり取りは次の通り。

日本の経験は世界の「典型」

 ――米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、「低金利・低インフレ・低成長」が世界の「ニュー・ノーマル(新たな常態)」になったと述べました。何が起きているのでしょうか

 「世界的に投資不足・貯蓄過剰に陥り、それが低金利とさえない成長、インフレ圧力の減退につながったという現実は、ほとんど誰もが認識している。私のように『長期停滞』という言葉を使う人もいれば、そうしない人もいるが、根底にあるのは同じ現象だ」

 「2008年の世界金融危機後の事態を短期的な落ち込みとみるのは説得力を失った。特にその後のインフレの動向を見れば、日本がこれまで経験してきたことがむしろ、いまの世界の典型を示していたのだということがはっきりした」

 ――日本のバブル崩壊後の経済政策には多くの失敗があり、欧米の政策担当者はそれを十分に踏まえて世界金融危機後の対応にあたったのでは

 「欧米の政策担当者が日本に…

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