馬毛島買収の舞台裏 所有会社の経営難、幾度も迫る米国

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相原亮 山下龍一 伊藤嘉孝 外尾誠 具志堅直
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 河野太郎防衛相は3日の閣議後会見で、米軍機の訓練の候補地である鹿児島県馬毛(まげ)島(広さ約8平方キロ)の所有会社と、島を買収することで大筋合意したと明らかにした。8年がかりの交渉が急展開した裏には、強まる米国のプレッシャーと、所有会社の経営悪化があった。

 「安全な環境で(米軍の)訓練ができるよう進めていきたい」。河野氏はこう意義を強調した。

 11月29日午後、東京都内の弁護士事務所。防衛省関係者が見守る中、島の土地99%を所有する開発会社「タストン・エアポート」(東京都)の幹部が契約書類に印鑑を押した。

 「4万坪(約0・13平方キロ)だけは土地を持ち続けたい」。同社は交渉で、こう主張した。関係者によると、現地に足場を残し整備工事に関わる狙いがあったとみられる。島に業者の土地が残ることを危惧した政府は「譲れない一線」と難色を示した。

 しかし最後は、業者が4万坪をしばらく所有し、島の整備後に国が買い取る条件で、折り合った。政府関係者によると、首相官邸の判断だったという。

 民主党政権時代の2011年6月、米ワシントンで開かれた日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で、馬毛島は米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転候補地として明記された。

 空母艦載機の拠点があった米軍厚木基地神奈川県)は住宅地が近く、暫定的に訓練は硫黄島(東京都)で行われていた。だが、機体トラブルの際に、着陸できる空港施設が周囲に全くないことが不安視されていた。

 一方、馬毛島は無人島。昨年、艦載機の移駐が完了して部隊拠点となった岩国基地山口県)からも近く、格好の立地だった。

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 ただ、交渉は難航した。タス…

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