消防署員の自殺「組織に抗議」 調査委報告、市は非公表

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二宮俊彦
【動画】会見する松永拓也さんの父・哲也さん=藤牧幸一撮影
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 山口県宇部市の宇部中央消防署の男性署員が1月に自殺し、職場のパワハラを示唆する内容の遺書が見つかった問題で、男性は抗議などのために自殺したとする報告を、弁護士らでつくる外部調査委員会がまとめていたことが分かった。

 署員だった松永拓也さん(当時27)は1月23日、自宅で自殺。「上の者は都合の悪いことは無かったことにしている。隠蔽(いんぺい)して表には出せない」とする遺書が見つかったことなどから、署を管轄する消防組合の外部委員会が調査し、概要を遺族に伝えた。父親の哲也さん(62)が2日、山口市内で記者会見し、その報告の内容を明らかにした。

 調査報告や会見した哲也さんらによると、先輩職員が後輩から多額の金銭を借り入れる問題が2件あり、いずれもパワハラ行為で文書訓告処分を受けた。うち1件は8人が計141万円を貸していて、拓也さんも共済会から借りた50万円を貸し、共済会の先輩職員の保証人にもなったという。また、同僚や上司を罵倒した職員も文書訓告処分になった。

 報告は、こうした処分を受けた問題の中に懲戒審査委員会は戒告処分が相当としたが、(消防幹部らの)部次長協議では戒告よりも軽い「文書訓告」の処分にしたものがあったとした。こうした行為の全容が明らかにされず、金銭問題を起こした職員が懲戒処分になっていないことに、拓也さんは「不満ないし不信感を有していた」と指摘。1月21日に発生した火災へのストレスなども重なり「組織に対する不信感が積み重なるなか、組織の改善を期待し、抗議のために自殺した」と結論づけたという。

 哲也さんは「息子の訴えをすぐにでも世間に公表してほしいと求めたが、いまだに公表されていない。真相を究明し、真実を家族に説明してほしい」と訴えた。

 宇部・山陽小野田消防局の石部隆消防長は2日、「外部調査委員会の調査結果を厳粛に受けとめ、原因究明に向けて内部調査を実施している。結論をまとめ、しかるべきタイミングで公表する」などとする談話を出した。(二宮俊彦)

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