トランプ氏もはや選択肢なく 人権法成立、米中の事情

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ワシントン=園田耕司 北京=冨名腰隆 ワシントン=青山直篤 北京=福田直之
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 米国で「香港人権・民主主義法」が成立し、米中関係は新たな対立局面に入った。大統領選挙を有利に進めるため署名に踏み切ったトランプ米大統領に対し、中国は報復を「宣言」。香港情勢、米中通商紛争ともに先行きは一層不透明さを増している。

 「中国の習近平(シーチンピン)国家主席、中国、香港の人々への敬意から、私は法案に署名した」。トランプ氏が法案署名後に発表した声明では、習氏への配慮をにじませた。法案提出者のルビオ上院議員(共和党)が「中国政府による香港へのこれ以上の内政干渉を阻むため、米国は意義のあるツールを持った」と強い声明を出したのとは対照的だ。

 署名を発表したのも、ニューヨーク株式市場が取引を終えた27日夕方。28日は米国の重要な祝日の感謝祭で、政府機関や金融市場はいずれも休みだ。株価などに影響が出にくいタイミングを見計らったとみられる。

 トランプ氏には法案に署名せず、拒否権を行使する選択肢もあった。判断にあたって、最後まで悩んでいたのは米中通商協議への影響だった。22日に米FOXの番組のインタビューでは「我々は香港の人々を支持しなければいけないが、私は習氏も支持している。彼は私の友人であり、素晴らしい人物」と発言。「私は自由を支持するが、我々は貿易問題のディール(取引)をしている段階だ」と述べていた。

 ただし、法案は超党派議員の圧倒的支持で可決された。拒否権を発動すれば、「ディール」を優先して民主主義や人権の問題で妥協した、との批判は免れない。また、拒否権を行使しても、両院で3分の2以上の賛成を得て再可決されると、大統領の意向にかかわらずに法律は成立する。そうなると、共和党議員とトランプ氏の間で溝が生まれる可能性もあった。

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 来年の大統領選で再選を狙う…

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