ちぐはぐNATO、薄れる役割 トランプ氏は離脱も検討
欧米諸国の軍事同盟・北大西洋条約機構(NATO)は今年、創設70年を迎えた。だが、内部の不協和音は高まる一方だ。米国が世界各地の紛争への介入から引こうとしているいま、NATOの方向性は定まらない。(イスタンブール=其山史晃、ワシントン=渡辺丘、パリ=疋田多揚)
NATO加盟国トルコのエルドアン大統領は11月初旬、「NATOは少しも動かない」と、地元メディアに怒りをぶちまけた。
トルコは10月、内戦が続くシリア北部への越境軍事作戦に突入した。他の加盟国はこの行動を非難し、英独仏など少なくとも8カ国がトルコへの武器輸出停止などの措置を取った。
トルコが攻撃したのは、少数民族クルド人の武装組織「人民防衛隊」(YPG)。国際的には過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いを担った主役だが、トルコにとっては、自国からの分離独立を目指す非合法武装組織と一体の「テロ組織」にすぎない。
同じ軍事同盟に属しているのに価値観を共有できない――。欧米の加盟国との溝を感じさせる出来事はこれだけではない。2016年のトルコでのクーデター未遂後、強権化するエルドアン政権への批判を強める欧州諸国に反発。米国がYPGの支援をやめないことに不信を募らせてきた。
その結果が、NATOとは緊…
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