「メンタルは何か一皮むけたなと」 羽生結弦、一問一答

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構成・山下弘展 吉永岳央
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 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ最終第6戦、NHK杯を制した羽生結弦(ANA)が、優勝から一夜明けて取材に応じた。

 報道陣とのやりとりは次の通り。

――3年ぶりにNHK杯を勝った。

 「とにかくけがなく終えられたことが、一番の収穫かなと思ってます。ショートプログラム(SP)も完全に納得できる形ではないですけど、まずはまとめられたうえで、フリーも回転不足があったとはいえ、ワンミスにとどめられたというのはよかったんじゃないかな。また、ファイナルに向けての良い一歩になったんじゃないかなと思います」

――12月のGPファイナル(イタリア・トリノ)への意気込みは?

 「そうですね、もちろん………。とりあえず優勝したいです。その思いが一番強いです。良い演技がしたいというのももちろんありますし、ノーミスしたいというのももちろんあるんですけど、やっぱり形としてしっかり優勝したい。やっぱり結果って、本当に大事なものだと思ってますし。(今年3月の)埼玉の世界選手権で実際、銀メダルになって演技内容自体は、SPは良くなかったんですけど、フリーはまあまあそこそこ良くて、それでもフリーでも勝てなかったので、あの時は。でもやっぱりそれって、記憶には残っているかもしれないんですけど、記録には残らないですよね。それは、意味がないと僕は思うので。やっぱり、しっかり記録に残してナンボだと思うからこそ、しっかり結果を取りたい。そういう強い気持ちはすごくあります」

――昨日の試合後に、「壁を一つ越えられたんじゃないか」と。改めて壁の存在はどんなものだったのか。どうやって乗り越えたのか。

 「やはり、この(フリーの)プログラム自体にループが跳べないという印象が結構強くついてしまっていて。それを何とか越えなきゃいけないなというものがすごく大きかったですね。あの、もちろん、(SP)オトナルのサルコーにしても、4回転トーループ―3回転トーループにしても、やっぱり何かしら曲としてうまくはまっていないところだったりとか、本番でうまく決まらない何かがやっぱりあったと思うんですよね。ただ、それが何だって言われたら、最終的に、まだ明確にわかってないんですけど、まずは越えられたということは、これから自信を持って行ける、というふうにはなるんで。やっぱり、失敗した数だけ、不安は大きくなりますし。でも、それから成功を一回してしまえば、まぐれでも一回成功してしまえば、そこから自信には絶対なるので。やっぱり、大きな自信は得られたなという感触はあります」

 ――「4回転ループ、4回転サルコーを課題としてやっていた」と言っていたが、ファイナルに向けての課題は。

 「まあ、とりあえず、ループ、サルコーがとりあえず一番大きな壁であったので。そこを越えられてちょっと安心しているところはあります。あとはファイナルに向けての一番の課題は、とにかくコンディションをまたしっかり戻しきること。で、調子のピークは実際に、そこまで意識していたわけではないですけれども、しっかり、この試合に合わせようとはしていましたけれども、結果的にちょうどよくファイナルに合うんじゃないかという感覚はちょっとしているので。その感覚を大切にしながら、ちゃんとピークを持って行けるんだぞ、という感覚を大切にしながら、そのうえで、ちゃんとコンディション自体も、体調自体もしっかり整えていくことが今の課題かなと思います」

 ――今回も、10月のGPカナダ大会でも言っていたが、「これでようやく羽生結弦としてやっていける」と。自分で考える羽生結弦というのは、どんな存在で、どんな選手なのか。

 「僕の中で9歳の自分とずっと戦っているんですよ。9歳で初めて全日本ノービスを優勝したときの、もうなんか自信しかない、自信の塊みたいな自分がいて。そのときの自分にずっとなんか、『おまえ、まだまだだろ』と言われているような感じがしてるんですよね。だから、本当はそこまで行きたいんですよね。自信の塊みたいな。あのころの、何だろ、だんだん大人になっていくにつれて、いろんな言葉とか、いろんな物事とか、社会のルールみたいなものに、やっぱり縛られていくじゃないですか、だんだん。それにだんだん自分たちが意味づけをしていくじゃないですか。子どもの頃って、そういうの何もなくて、ただやりたいことをやっていて、ただ、自分自身が心から好きだなって思うことだったり、何だろ、自信があるなと思うことに関して、すごく素直でいられたと思うんですよね。それが今まったくできなくなってきていて。でも、自分の根源にあるものはたぶん、そういうなんか、本当に自分の心からやりたいもの、心から自信を持てるものというものを、スケートで出したいんですよ。たぶんそれが、たぶん一番強い時の自分なんですよ。それになりたいって思っていて。たぶんそれが、最終的にこの、今の大人になった自分として、その小さい頃の、何でもできると思っていたころの自分が融合したら、最終的に羽生結弦だって言えるのかなって思ってます。それがたぶん理想像なんです」

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――追いつけるのは。いつごろ…

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