米大手ITのグーグルが自社のサイトに新聞社などが配信する記事の一部を表示しているのに著作権料を支払わないのは不当だとして、フランスのメディアや新聞・雑誌関連の組合が仏の競争監視機関である競争委員会に訴えた。20日、AFP通信が報じた。欧州連合(EU)は、IT大手が記事を利用した際に対価を払うことを義務づけるよう加盟国に求めており、今後同様の動きが広がる可能性がある。

 問題となっているのは、グーグルがニュースサイトで表示している、報道機関のニュースの記事の一部や写真。張られたリンクをクリックすれば、報道機関のサイトへ飛ぶ。メディア側はグーグルを「自分で制作していないものをタダで使って巨額の利益を生み出している」(仏紙ルモンド)と批判している。300以上の新聞を束ねる組合などが15日に、AFP通信も19日に提訴した。

 仏メディアが訴えを起こすきっかけになったのは、10月24日に施行された仏の改正著作権法だ。報道機関のニュースを表示するIT企業に対価を支払うよう定めている。

 一方、グーグルは9月に声明を発表。メディア側が対価を求めるなら、グーグルのサイトには記事のリンクやタイトルしか表示しない、と表明した。改正著作権法では、リンクや「ごく短い引用」なら違法とされていないためだ。メディアにとってはグーグルでの扱いが地味になり、自社サイトを閲覧してくれる人が激減する恐れがある。ルモンドなどはこれまで通り無料の利用に応じつつ、社説で「法令を迂回(うかい)している」などとグーグルを非難していた。マクロン仏大統領も「どんなに大きな企業でも、法律から逃れることはできない」と批判していた。

 仏の法改正は、EUが今年4月に改正した著作権指令に伴うもの。加盟国は2年以内に法制化する必要があり、仏が最初の国だった。(パリ=疋田多揚)

■日本での対価の支払…

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