「テコンドー協会長の責任は重い」 検証委員長に聞く

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塩谷耕吾 中小路徹
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 選手と協会の対立が表面化して全理事が辞職することになった全日本テコンドー協会は現在、外部の検証委員会に新理事の選定や組織運営の検証を委託している。一連の混乱の原因や金原昇会長の去就について、委員長を務める境田正樹弁護士に聞いた。塩谷耕吾中小路徹

 ――検証委員会立ち上げの経緯は?

 5~6年前にテコンドー協会で混乱があった際、金原さんと会う機会があった。マネジメント、ガバナンスをしっかりやらないといけないとアドバイスした。スポーツ法学界メンバーの弁護士2人を紹介して理事に入ってもらった。今回、騒動が大きくなって、金原さんから相談したいと連絡があり、10月上旬に会った。これまで私が組織再建を担当した日本フェンシング協会日本バスケットボール協会では、一度、理事が全員辞職してから第三者が新理事を推薦して立て直した、という事例をお話しした。

 ――金原会長の反応は?

 ぜひ、その形でやってほしいというお話だった。「自分は独裁ではない。ガバナンスをしっかりやってきたつもり」「やり方が間違っていたなら、改める。検証してほしい」と。それで、我々が検証委をつくって検証した上で、新しく理事を選び直す、という提案をこの間の理事会にかけてもらった。

 ――金原会長は自身が退任する可能性があることも理解している?

 理解している。第三者の目で、自分たちのやってきたことを評価してほしいと。その上で、はずされてもかまわない。はずされても協力する、と言っている。

 ――これまで選手、理事、コーチらをヒアリングして見えてきた全日本テコンドー協会の問題点は?

 主に二つある。

 一つ目は、官房機能がない。金原さんはリーダーシップがあり、しっかりしようという意欲はあるが、会長は組織の全部は見きれない。独裁にならないように権限を分けて、部分最適でやっているけど、選手や強化の現場からいろんな声があがっても、官房長官の役割、つまり様々な利害関係を総合調整する機能が働かず、その人材もいなかった。

 二つ目は、なんといってもお金がない。雇用経費がないので正職員を2人しか雇えず、本来、正職員がやるべき仕事を理事が無償で肩代わりしている状態。理事は自分の仕事を犠牲にしてまでテコンドーのために活動している。バスケットボール協会の時は、正職員が25人くらいいた。だから理事25人全員がやめ、新理事6人だけで動き出しても、事務がしっかりしているから回った。

 だがテコンドーは今回、理事全員がやめると動かなくなる。そこが大きな違い。フェンシングの時は理事20人に総辞職してもらったが、その半分の10人は再任して残ってもらった。フェンシング協会の正職員も2人だったから。

■金原会長から寄付も…

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