歌舞伎町の「駆け込み寺」支援募る 相談急増の年末控え

今村優莉
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 「たった1人のあなたを救う」――。そんな言葉を掲げて東京・新宿の歌舞伎町で17年間、あらゆる相談に無料で応じてきた公益社団法人「日本駆け込み寺」が、クラウドファンディングで活動資金を募っている。苦しい資金繰りのなか、今年から体制を縮小していたが、深刻な相談が増える年末に向けて「スタッフを増やして1件でも多く対応したい」という。

 駆け込み寺は2002年の誕生以来、年中無休で活動してきた。警察や行政に相談しても解決できないような家庭内暴力の当事者や多重債務者が、全国から訪ねてくる。14年以降は刑務所を出た人たちの支援にも力を入れてきた。

 しかし、活動の中心で創設者でもある玄秀盛(げんひでもり)さんが病気を患い、自己破産。資金難に直面し、今年5月にそれまでの午前10時から午後10時までの体制を、午後6時までに縮小した。

 スタッフはボランティアも含めて約10人。主婦や年金生活者もいる。活動資金は玄さんの地方講演で得る収入や、わずかな寄付でまかなってきた。スタッフにこれ以上の負担を強いることはできないと、深夜に働く相談員を増やすためにクラウドファンディングを使って資金集めをすることにした。

 通常は1日2~5件ほどの相談は、12月に入ると10件近くになることもある。飲食店で自分の客を増やそうと客のツケを背負うことになった店員が、年が変わる前に回収したい店側から支払いを要求されて精神的に追い詰められるケースや、ツケを返そうとサラ金に手を出し、雪だるま式に膨らんだ借金を返すために「もっと稼いでこい」と性的サービスに従事する店に「移籍」させられた女性が「周囲にばれるくらいなら自殺したい」と相談に来るケースが少なくないという。さまざまな理由で帰省できない人が、歓楽街のにぎわいを見てつらさが増してしまうのもこの時期だ。

 玄さんは「12~1月は、明るい気持ちで正月を迎えたい経営者が若い子を消耗品のように扱い、深刻さが増す」と指摘する。最近は、弁護士と名乗り、夜の街で働く我が子を心配する親から金をだまし取る悪質な手口が増え、親からの相談も増えているという。

 「目標は100万円。年末年始だけでも24時間体制で相談を受け入れたい」と玄さんは訴える。

 12月20日まで朝日新聞社のクラウドファンディングサイト「A―port(エーポート)」(https://a-port.asahi.com/projects/kakekomidera/別ウインドウで開きます)で寄付を募っている。(今村優莉)

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