DNAから段ボールまで 現代美術の現在地問う21美

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田中ゑれ奈
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 金沢市の金沢21世紀美術館が開館15周年を迎えた。開催中の記念展では、久しぶりのお披露目となる作品から近年の収蔵品まで、コレクションを通して美術館と現代アートの「現在地」を見つめる。

 21美は、開館前も含め約20年間にわたって、1980年以降の作品を核に約4千点を収集してきた。

 開館当初は「移動・横断」「非物質性」など六つのキーワードをコレクションから抽出していたが、「今日では少しずつその意味も変わり、読み直しをする時期が来ている」と野中祐美子学芸員。今展では会期を[1]と[2]に分けて展示する200点超の作品群を、新たに設けた24のキーワードに沿って読み解いていく。

 ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホの映像作品「El Fin del Mundo」(世界の終わり)に与えられたキーワードは、展覧会タイトルと呼応する「現在地―過去の参照と未来の創造」。大災害による終末を暗示する寂れた世界に暮らす芸術家と、彼の作品の痕跡を通じて旧世界文明に触れる女性を、左右二つのスクリーンで描く。

 「芸術と生命工学の交差」では、バイオテクノロジーを表現の手段やテーマとした例が並ぶ。ステン・ハンセンが1968年に制作した「薬物、毒素、放射線照射による遺伝暗号の破壊」は、変異させた遺伝子配列を楽譜に見立てて演奏した音楽作品。川崎和也は新作「全滅する気がないなら、交雑せよ」でキリンと人間の異種交雑を想定し、かかとの位置が高い、つま先立ちをした人間のキメラ骨格標本などを提示した。

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 独立した大小の展示室が集ま…

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