1949(昭和24)年に起きた火災で焼損した奈良県斑鳩(いかるが)町の法隆寺金堂壁画(7世紀、国重要文化財)にわずかに残っていた色彩が、1億5千万画素の高精細デジタル写真で確認された。奈良市の奈良国立博物館と奈良文化財研究所が10月初め、1号壁の釈迦(しゃか)浄土図(高さ約3・1メートル、幅約2・6メートル)の20カ所について、初めてデジタル撮影を実施した。鮮やかな緑や朱などが一部に残っていることが確認でき、約1300年前の飛鳥時代に描かれた極彩色に迫る新資料として期待される。

 壁画は作者不明で、現存する日本最古の仏教絵画。金堂内の大小12の壁に釈迦如来や薬師如来、観音菩薩(ぼさつ)などが描かれ、中国の敦煌莫高窟(とんこうばっこうくつ)の壁画などと並ぶ世界的な傑作とされる。金堂の解体修理中の49年1月に無人の堂内から出火し、全面が焼け焦げてほとんど色彩を失った。その後は境内の収蔵庫に周りの柱などとともに安置されてきた。

 デジタル撮影は、2015年に法隆寺が文化庁と朝日新聞社の協力のもとに発足させた「法隆寺金堂壁画保存活用委員会」(委員長=有賀祥隆・東京芸術大客員教授)が計画。壁画の本格的な撮影はモノクロ時代の1935年以来で、中央の釈迦如来像の帯に残る赤色や左側の羅漢像の衣にある緑青、左上部の飛天像の足裏に残る朱線などの色彩を記録できた。

 また、1号壁を160面(1面…

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