アンニョンハセヨ、消えた対馬 初めて知った私のルーツ
武田肇
数カ月ぶりに戻った故郷の風景は、様変わりしていた。観光客でにぎわったカフェや食堂は閑古鳥が鳴き、耳慣れた韓国語は聞こえない。ソウル女子大に留学中の上野すだちさん(21)は9月、父母らが暮らす長崎県の離島、対馬に帰省し、「日韓関係の悪化を初めて肌身に感じた」。
釜山から約50キロ、高速船で1時間強の対馬は韓国の人々にとって最も近い外国。昨年は人口約3万人の島に約41万人の韓国人観光客が訪れた。だが、7月に日本政府が対韓輸出手続きを厳格化すると、島を訪れる韓国人は昨年の10分の1まで減った。
韓国政府が日本の大衆文化の開放に踏み切った1998年に生まれ、物心ついたときから韓国は身近な存在だった。小学生のとき、韓国人観光客とすれ違うたびに同級生と「アンニョンハセヨ」と声をかけた。
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