90歳の妹、訴え続ける兄の無実 名張毒ブドウ酒事件

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村上潤治
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 三重県名張市で1961(昭和36)年、女性5人が死亡した名張毒ブドウ酒事件を巡り、獄死した奥西勝・元死刑囚の遺志を継いで再審請求を続ける妹の岡美代子さん=奈良県山添村=が今月、90歳になった。再審請求は直系親族らに限られており、「私が亡くなったら再審は終わりかもしれない。命のある間にいい結果が出てほしい」と願っている。

 自宅の和室の隅に、ほほえむ兄の遺影がある。64(昭和39)年に津地裁で無罪になった直後の会見で撮影されたものだ。90歳の誕生日を迎えた岡さんは「私もがんばるから、あの世でもがんばって無実を訴え続けなあかんよ」と話しかけた。

 無罪判決から4年あまり。69年に名古屋高裁が言い渡したのは死刑判決だった。兄の無罪を信じて法廷に駆けつけた岡さん。「裁判官に『死刑』と言われ、兄は連れていかれ、帰ってこなかった。この時のつらさは忘れることはできません」

 無実を訴えた兄は、2015年に獄死した。89歳だった。霊安室で安らかな表情で眠る兄に「よう頑張りようたな」と言葉をかけ、再審請求を引き継いだ。

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 再審請求は期限がない。だが…

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