トルコ、外国人のIS戦闘員送還へ EU揺さぶる狙いは

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其山史晃
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 トルコ国内で拘束している過激派組織「イスラム国」(IS)の外国人戦闘員をめぐり、トルコが欧州出身者を出身国に送還する方針を明らかにした。外国人戦闘員をめぐっては、出身国が引き取りに消極的な姿勢を示しており、国際的な問題になっている。トルコの突然の表明の狙いは何か。

 アナトリア通信によると、ソイル内相が8日、首都アンカラでの演説で「欧州にIS戦闘員を送り返す」と述べた。11日から帰還させるとしている。

 国連報告書などによると、ISなどの過激派組織に加わるためにシリアイラクにわたった外国人戦闘員は4万人以上とされ、出身国は欧州を含めて世界110カ国にのぼる。ソイル氏によると、トルコは約1200人の外国人戦闘員らを拘束しているという。

 IS戦闘員の出身国への帰還が進まない背景には、戦闘員を訴追しようにもシリアでの証拠収集が困難なことや、帰還後に収監しても、ほかの受刑者を洗脳したり、新たなテロを起こしたりするリスクがあることがある。

 英国やオランダは、戦闘員らを帰還させないために国籍を剝奪(はくだつ)する措置もとっている。ただ、トルコはこうした対応を批判しており、4日にはソイル氏が「国籍を剝奪されようがされまいが、我々はISのメンバーを出身国に送り返す」と強調していた。

 トルコのこうした動きは、トルコ軍が先月、隣国シリア北部に越境し、テロ組織として敵視してきた少数民族クルド人の武装組織「人民防衛隊」(YPG)への軍事作戦を展開したことと関係がありそうだ。欧州連合(EU)側は一方的な攻撃だとトルコを非難しており、トルコはIS戦闘員の送還によってEUに揺さぶりをかけようとしている可能性がある。

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