ビールで抗うつ剤、死の淵も見た 失意の私を変えた言葉

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田中紳顕
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 4年前、まだ肌寒い3月のことだった。

 込山(こみやま)洋(ひろし)さん(45)は20代を過ごした渋谷の街を、あてもなく歩いていた。

 ハチ公前広場に立ち寄ると、喫煙所の周りが吸い殻で散らかっているのに気づいた。近くの店でゴミ袋を買い、ひとつずつ拾った。なぜそうしたのかは覚えていない。

 1時間ほど続けていると、宝くじ売り場の女性に呼び止められた。「拾ってくれて、ありがとう」。涙がこみ上げた。ふいによみがえる言葉があった。

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 その前年の夏。香川・小豆島に向かうフェリーで、大量の抗うつ薬缶ビールで流し込んだ。酩酊(めいてい)したまま、島につき、浜辺を見つけて海に入った。

 福岡を拠点に、飲食店や保険代理店などを幅広く手がけていたが、共同経営者だった親友をがんで亡くした。心身のバランスを崩し、酒に溺れた。会社は傾き、妻とも険悪になり、居場所を失った。

 水に入る自分を見つけて助け…

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