引きこもりの息子、妻の説得応じず津波が ざんげの思い

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緒方雄大
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 台風19号で、引きこもりの人たちを支える福祉施設に土砂が流入し、機能が停止した。東日本大震災で引きこもりの次男と妻を亡くした佐々木善仁さん(69)は、ざんげの気持ちを胸に片付けを手伝う。こうした「居場所」の大切さを身にしみて感じているからだ。

 11月上旬、岩手県宮古市八木沢4丁目のNPO法人「みやこ自立サポートセンター」で、佐々木さんは職員や利用者らと、建物内外の土をスコップですくい土囊(どのう)を作る作業を黙々と進めた。

 木造2階建てのセンター正面ののり面が崩れ、押し寄せた大量の土砂や岩は壁を破って玄関を壊し、相談室の床を抜けさせた。10~40代の不登校や引きこもりで悩む約10人の利用者は、ちょっとした相談や就労体験などができるセンターを使えなくなった。

 県内に2カ所しかないというこうした施設の状況を放っておけず、佐々木さんは週に2回のペースで陸前高田市の自宅から車で訪れる。「一日も早く、引きこもりなどで悩む子供たちが安心できる場所を戻したい。それが自分の義務」

 震災の津波で、妻みき子さん(当時57)と、引きこもりだった次男仁也さん(同28)を亡くした。

 仁也さんはみき子さんの「逃…

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