イラクデモ、死者250人超に イランに矛先が向く理由
イラクで政府の汚職や失業問題に対する市民の怒りが爆発し、1カ月以上にわたって激しいデモが続いている。治安部隊は実弾を使って応酬し、犠牲者はこれまでに250人以上に達した。デモ隊は既得権益を守る政治家らの一掃を要求。一方で、矛先はイラクに強い影響力を持つ隣国イランにも向けられており、イラン総領事館が襲撃される事態に発展している。
「この国にイランはいらない。介入し、めちゃくちゃにされた。私たちイラク人は自由であるべきだ」。イスラム教シーア派の聖地の一つ、中部カルバラのデモに参加した無職サファ・アッバスさん(40)は朝日新聞の電話取材にこう憤った。
10月1日に始まったデモは、汚職や失業問題に怒った市民がSNSで呼びかけた。イスラム教の宗教行事で一時は沈静化したが、先月下旬から再燃。「反イラン」の側面も色濃くなってきた。
3日夜に起きたカルバラのイラン総領事館襲撃だけでなく、これまでにも同国に近い政党支部が標的にされている。さらに、親イランの軍事組織がスナイパーを配置してデモ隊を狙ったとの情報が流れ、市民の怒りが増幅した。一部には「イラン、出て行け!」と叫び、イラン国旗を燃やす人たちもいる。
デモは主に国民の約6割を占めるシーア派地域を中心に広がった。2003年のイラク戦争で、スンニ派を優遇した強権的なフセイン政権は崩壊。イラクはシーア派が主導権を握り、同じシーア派の大国イランは強い影響力を及ぼしてきた。
親イランの政治家や官僚も多く、国民には彼らに国家運営を任せたものの、豊富な石油資源の富は分配されず生活が一向に上向かないという現実がある。
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